研究課題/領域番号 |
21590955
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
赤池 雅史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90271080)
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研究分担者 |
岩瀬 俊 徳島大学, 病院, 助教 (10403718)
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70372711)
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キーワード | グルココルチコイド / ミネラルコルチコイド / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 |
研究概要 |
グルココルチコイド(GC)過剰による心血管障害の機序の解明は心血管病の予防・治療法の開発に新しい手がかりとなることが期待できる。血管内皮細胞ではGCを不活化する11β-HSD2の発現が低いため、GCがミネラルコルチコイド受容体(MR)にも結合し活性化する可能性がある。そこで本研究ではMRを介したGCによる血管内皮障害機構の解明を目的とした。今年度はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)培養系において、選択的MR阻害薬であるエプレレノンを10^<-7>、10^<-6>、10^<-5>Mの最終濃度で添加し、その8時間後から内因性GCであるハイドロコルチゾンを10^<-7>、10^<-6>、10^<-5>Mの最終濃度で添加し、NADPH oxidaseのコンポーネントであるRac-1活性をpull-down assayにより評価した。この結果、ハイドロコルチゾシは血管内皮細胞のRac-1を活性化し、その活性亢進はエプレレノンにより抑制されることが明らかとなり、GC過剰が血管内皮細胞においてMR活性化を介してRac-1を活性化することでNADPH oxidase由来の活性酸素産生を亢進させることが示唆された。一方、HUVECへのハイドロコルチゾンの添加は、ERK5活性やKLF2発現ならびにeNOSプロモーター活性に有意な変化をきたさず、ハイドロコルチゾンによるeNOS発現低下においては、ERK5-KLF2系によるeNOS転写活性調節経路は主要なメカニズムではないことが示唆された。また、GC過剰による活性酸素産生がRac-1の活性化を介するものであること、およびNO欠乏状態がGCによる心血管系障害を増悪することをin vivoで証明するために、eNOSノックアウトマウスを用いた実験系を確立した。
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