研究課題/領域番号 |
21590959
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
辻野 健 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90283887)
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研究分担者 |
増山 理 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70273670)
川端 正明 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (70411999)
内藤 由朗 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10446049)
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キーワード | 鉄 / 貧血 / メタボリックシンドローム. / nitrosative stress / 低酸素 / 貯蔵鉄 / 糖尿病性腎症 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究の目的はメタボリックシンドローム(MetS)のモデルであるOtsuka-Long Evans Tokushima Fatty Rat(OLETF)を用いて、鉄制限がMetSに及ぼす影響を検討することである。我々は平成21年度に高脂肪食と8%NaCl飲水を与えて腎障害を促進させたOLETFに鉄制限を行ったところ、貧血になるとともに、尿蛋白が減少し、組織で観察された腎障害も軽減した。その機序としては酸化ストレスが軽減し、貧血であったにも関わらず組織の低酸素状態が改善したことが分かった。本年度は、鉄欠乏食が腎障害を軽減する機序について、さらに詳細に調べた。OLETFではNOの代謝産物NOxが増加していたが、鉄欠乏食を投与されていた群ではNOxが減少しており、いわゆるnitrosative stressの減少も鉄制限による腎症発症低下に寄与していると考えられた。さらに、我々は腎症予防だけではなく、いったん発症した腎症を鉄制限によって治療することができるのか、さらに治療するためには、貯蔵鉄を減らすだけで十分なのか、貧血を誘導する必要があるのかについて検討を開始した。すなわち、まずOLETFを通常食で腎症を発症するまで飼育する。現在30週齢まで飼育しているが、今後40週齢まで飼育する。そしてその後、OLETFを以下の4群に分ける。(1)正鉄食群(通常の食事)(2)軽度鉄制限食群(添加Fe量を通常の3分の1にする)(3)中等度鉄制限食群(添加Fe量を通常の10分の1にする)(4)高度鉄制限食群(Feを添加しない食事)。そして52週齢まで飼育し、腎障害の程度を尿中蛋白/クレアチニン比、デスミン免疫染色にて評価する。これにより早期腎症の治療に鉄制限は有効なのか、またそれには貯蔵鉄の減少だけでよいのか、ヘモグロビン濃度の減少が必要なのかを解明する。
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