研究課題
炎症性サイトカインの調節、DNA修復、増殖といった様々な細胞機能の変化は、いわゆるエピジェネティクスと呼ばれるDNAの翻訳後修飾によりもたらされている。肺におけるmiRNAに関する既存の報告はごく限られている。よって、本研究をこれらのLCHを用いたジェネティクス研究成果のエピジェネティクスへの発展的展開として位置づける。H21年度は、喫煙曝露後とコントロールマウスとの間で細気管支上皮におけるmiRNAをマイクロアレイ上で網羅的にスクリーニングした。C57BL/6マウスに喫煙暴露モデルを作成する。laser capture microdissection(LCM)法を用いて顕微鏡下に細気管支上皮細胞を選択的に採取した。長さ200塩基以下のRNAを濃縮したsmall RNAの画分として回収できるように開発されたmirVana?miRNA Isolation Kit(Ambion社)を用い、既存のバイオインフォーマティクスのデータベースの中に取り込んで解析を行った。H22年度には得られたアレイの結果確認のためのmiRNA発現解析を定量的RT-PCRを用いて行った。一方、動物実験においては、長期喫煙曝露モデルに加え、老齢マウスに喫煙曝露を行い、加齢が及ぼすmRNAプロファイルへの変化を同時に検討した。また、長期喫煙と加齢により変化するmiRNA群の中を絞り込み、ヒト喫煙者、COPD患者でも同様の変化があることを確認した。さらに禁煙後にも変化が回復しないmiRNAのうち4種に注目し、培養細胞を用いたin vitroでの機能的解析を行った。特定のmiRNAクラスターを修飾している可能性が示唆され、細胞生存、増殖に関与することが明らかとなった。一連の網羅的解析と機能解析の結果を合わせ論文執筆を完了し投稿準備中である。
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