研究概要 |
研究期間中に、93名のCOPD患者がエントリーされ、観察期間中の増悪の有無、呼吸機能の変化、CT画像における気腫化病変の変化を、前向き観察研究で検討を行った。結果的に、安定期の測定した歯周病抗体価の高値は、COPD増悪頻度に抑制的に関連するという、予想とは反対の結果を得た。Bioplexを用いて、27種の炎症に関連するサイトカイン(PDGF,IL-1b,IL-1Ra,IL-2,IL-4,IL-5,IL-6,IL-7,IL-8,IL-9,IL-10,IL-12,IL-13,IL-15,IL-17,eotaxin,FGF,G-CSF,GM-CSF,IFN-γ,IP-10,MCP-1,MIP-1α,MIP-1β,RANTES,TNF-α、VEGF)を網羅的に検討したところ、血清中のIL-4とIL-7の濃度は、歯周病抗体価の陰性群で、歯周病抗体価陽性群に比して高値であるという結果であり、抗体産生能力と、液性免疫に関連するサイトカインが増悪の有無に関連する可能性が示唆された。高感度CRPにおいては、両群で差は見られなかった。本内容は論文化し、PlosOneでリバイス中である。p38-MAPKは一部の症例で測定可能であったが、測定が安定せず、残念ながら、評価は不能であった。並行して施行した臨床項目の解析の結果、肺気腫は増悪を経験することによって進行することが明らかとなり、今後のCOPDの評価指標として、画像による気腫評価が重要であることを報告した(AJRCCM)。
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