研究概要 |
身近な大気汚染粉塵の曝露モデルとして、タバコ煙溶出液のエロソール曝露を、正常妊娠マウス(BALB/c)の出産5、3、1日前に施行、出生した仔マウス(CSE群)に対し、生後3日に卵白アルブミン(OVA)+alumを腹腔内投与により感作し、その後第12~14日齢ならびに32~34日齢に抗原溶液をエロソール曝露して喘息病態を評価した。正常の無処置母親マウスから生まれた仔マウスは、生後3日の1回のみの抗原感作ではその後の抗原曝露によっても著しい喘息病態を示さないが、CSE群では喘息病態をきたし、妊娠中の喫煙が出生後の仔マウスの喘息感受性を亢進することが示された。また、出生した仔マウスに4日齢から13日齢まで連続して1%抗原溶液のエロソール曝露を行うと(アジュバントを用いない局所感作=経気道感作)、反応はやや弱いもののCSE群でのみ喘息病態を呈した。新生児マウスの脾細胞のRNA解析によりCSE群ではIL-4、CTLA4、TGF-βなど発現が亢進しており、血清サイトカインではIL-4,IL-5,IL-12,IL-13,IL-17,IL-23,IFN-γが対照に比して高値であり曝露が胎児・新生児期の免疫状態に関与ることが示された。 喫煙曝露において、直接曝露を受ける気道や肺の上皮障害はDNAのメチル化を促進すると言われている。4週齢後から唄-とした今回の結果から、CSE群の喘息感受性は生後何週齢までたもたれるかを示すことを主としたが、4週間結果はCSE群での優位性は明らかでなかった。経時的な変化を慎重に検討する予定である。
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