喘息、肺線維症などの炎症性肺疾患におけるPGD_2受容体CRTH2を介した免疫制御機構の本態を、(1)喘息気道の炎症・過敏性増悪をきたす過程でのPGD_2/CRTH2経路の意義を明らかにすること、(2)肺線維症モデルにおいてPGD_2/CRTH2経路が炎症収束を促進する機序を明らかにすることの2点に注目して検討を行った。(1)については、長期抗原暴露による好酸球性気道炎症にはPGD_2/CRTH2経路が部分的に関与することを明らかにした。現在は強力なTh2型炎症を誘導する病原体成分であるアスペルギルス抽出物を用いた喘息モデルを確立し、現在、IL-17ノックアウトマウス、CRTH2ノックアウトマウスで検討中である。(2)については昨年度までの検討でCRTH2ノックアウトマウスではブレオマイシンによる肺の炎症と線維化が亢進していること、CRTH2ノックアウトマウスに野生型マウスの脾細胞を移入すると炎症・線維化が軽減することを報告していたが、今年度の検討によりこれが脾細胞中に存在するガンマデルタT細胞依存性であること、ガンマデルタT細胞はCRTH2を発現していることを見いだした。
|