喘息、肺線維症、敗血症などの炎症性肺疾患におけるPGD_2受容体CRTH2を介した免疫制御機構の本態に関する検討を行った。平成21、22年度は、(1)喘息気道の炎症・過敏1生増悪をきたす過程で長期抗原暴露による好酸球性気道炎症にはPGD_2/CRTH2経路が部分的に関与すること、(2)肺線維症モデルにおいてCRTH2ノックアウトマウスでは肺の炎症と線維化が亢進しているが、これはCRTH2陽性ガンマデルタT細胞依存性であることを明らかにした。 本年は腹膜炎・敗血症モデルにおけるPGD_2/CRTH2経路についての検討を行った。CRTH2ノックアウトマウスでは腹膜炎・敗血症モデルにおける生存率が著しく改善していた。これは興味深いことに腹膜腔内への好中球浸潤の増加を伴っており、好中球を除去したマウスではCRTH2ノックアウトマウスでみられた保護作用は消失することから、好中球依存性の作用と考えられた。CRTH2ノックアウトマウスにおける好中球浸潤の増加をきたす機序について検討したところ、好中球におけるケモカイン受容体CXCR2の発現が亢進していること、これはエピジェネティックな機構を介していることが明らかとなった。
|