我々は喘息死患者、軽症喘息、非喫煙者の摘出肺を用いて末梢気道のCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞を含むリンパ球、好酸球、好中球、好塩基球の検討を病理学的に行った。昭和48年以降に久留米大学病院及びその関連病院で病理解剖を行った12人の喘息死患者の肺病理組織を用いた。喘息死患者の末梢気道は平滑筋の肥大、分泌腺過形成を伴った著明な気道リモデリング、粘液栓による気道の閉塞が見られた。好酸球とリンパ球は軽症喘息、非喫煙者の健常人の末梢気道に比べ有意に増加していたが好中球と好塩基球は増加していなかった。一方、吸入ステロイド等でコントロールされている喘息の末梢気道は気道炎症もリモデリングもほとんどみられなかった。驚いたことに喘息死患者の末梢気道にはCD8陽性T細胞や好酸球が著明に浸潤しており、むしろCD4陽性T細胞はこれまでの報告と違いほとんど浸潤していなかった。これらCD8陽性T細胞や好酸球は炎症性サイトカインIL-18を強く産生していた(2009年9月にヨーロッパ呼吸器学会で発表)。喘息の急性増悪時にはCD8陽性T細胞や好酸球が末梢気道に浸潤し、これらの炎症細胞が喘息増悪の病因に関与している可能性が考えられた。加えて喘息死患者の末梢気道の変化はこれまでに我々が報告したCOPDの末梢気道変化に病理学的に酷似していた。研究成果は現在投稿準備中である。
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