研究概要 |
前年度までの本研究によって、T細胞活性化が喘息反応すなわち気流閉塞にむすびっくことを証明したので、今年度は、T細胞を活性化し遅発型喘息反応を惹起する抗原面の解析を実施した。まず、ダニ、真菌粗抗原を、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーの手法を用い生化学的に分画した。次いで、アトピー型、非アトピー型喘息症例の末梢血単核球と培養し、上清中のIL-5を特異的サンドイッチELISAで測定した。抗原特異的細胞増殖反応は、同様に6日間培養、最終16時間^3H-thymidineパルスによって測定した。その結果、IgE抗体との反応性において主要アレルゲンと呼ばれているDer f 1、Der f 2がほとんど含まれないフラクションにIL-5産生誘導活性が存在することが明らかになった。次いで、培養Der fよりcDNAライブラリーを作成し、これまでに報告されている主要アレルゲンDer p1,2,3,…,16等のcDNA配列をもとに、PCR反応によってcDNAを増幅し、発現ベクターにクローニングした。大腸菌で発現させ、喘息症例の末梢血単核球と培養し、in vitroにおけるT細胞刺激活性を評価した。最後に、これらのアレルゲンを非アトピー型喘息症例末梢血単核球と培養し、上清を、培養ヒト気管支平滑筋細胞ゲル内収縮アッセイ系にアプライし、非IgE機序による気管支平滑筋収縮のcharacterizationを行い、T細胞反応性(サイトカィン産生)とDer p in vitro気管支平滑筋収縮活性の関連を解析した。T細胞に由来する気管支平滑筋収縮活性は、IgE抗体の主要アレルゲンとは異なる分子によって産生誘導され、既知のサイトカインとは異なり、ステロイド、免疫抑制剤によって抑制されないことが明らかになった。
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