研究課題/領域番号 |
21590987
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
橋本 直純 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30378020)
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研究分担者 |
長谷川 好規 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20270986)
今泉 和良 藤田保健衛生大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50362257)
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キーワード | 肺線維症 / 血管内皮間葉系細胞転換 / 線維芽細胞 / 低酸素 |
研究概要 |
我々は血管内皮由来肺線維芽細胞の存在を明.らかにした中で有意な上昇を認めたtwistによる肺癌細胞におけるEMT誘導効果を検討して、2011年にMol Carcinogに報告した(2011 doi: 10.10021mc.20802.)。低酸素状態はtwist誘導を介したEMT誘導因子であることが報告されていて、Endothelial-mesenchymal transition (Endothelial-MT)を介した血管内皮由来肺線維芽細胞の線維化病変形成への関与が線維化病変に低酸素状態をもたらし、更なるEMT形成を引き起こすと仮定した(Tissue microenvronment)。一方、低酸素血症(PaO2/FIO2 ratio)によって定義される急性肺傷害の急性期には血清サーファクタントプロテインD(SP-D)の上昇が認められるが、線維化期に認める遷延化低酸素状態でのSP-Dの推移は明らかにされていない。肺線維症病態形成における低酸素化状態の重要性を評価するために、SP-D発現を上皮細胞特異的マーカーとして低酸素状態におけるSP-D発現の変化を評価した。ブレオマイシン誘導肺傷害モデルを作成して線維化病変に低酸素化状態を確認した。また、肺傷害急性期にはSP-D上昇を認める一方、線維化期にはSP-D低下を確認した。また、24時間の急性低酸素暴露において肺上皮細胞でのSP-D発現上昇を認める一方で、72時間の遷延化低酸素暴露においてはSP-Dの発現抑制を示すことをin vitroの実験で確認した。さらに、遷延化低酸素暴露においてtwistの発現上昇を認めるとともにEMT誘導を確認できた。これらの知見を現在英文投稿中である。これらの知見は、線維化によってもたらされる低酸素化状態が更なる線維化病変の形成に重要な役割を示していると考えられ治療標的になりうると結論付けられた。
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