研究課題
基盤研究(C)
細気管支肺胞上皮癌(BAC)パターンは肺腺癌の辺縁(進展部)でしばしば認められる。その部位の上皮成長因子受容体(EGFR)関連シグナルについて検討した。胸部CT上で、すりガラス陰影を伴う肺腺癌の手術検体50例中、腫瘍径1 cm未満が6例、1-2 cmが18例、2 cm以上が26例であった。2 cm以下の小型肺癌24例中9例が非浸潤型で15例が浸潤型であった。免疫組織染色にてEGFR、pAKT、pMAPKは腫瘍の辺縁のBACパターン部位よりも腫瘍中心部に多く発現していたが、pSTAT3は逆にBACパターン部位に多く発現していた。腫瘍径2 cm以下の腫瘍では中心部のpSTAT3の発現は浸潤型より非浸潤型で多く認められた。EGFR遺伝子変異の有無ではpSTAT3の発現には差は認められなかった。EGFR遺伝子改変マウスの肺発癌モデルでは、pSTAT3は腫瘍中心部より辺縁のBACパターン部位により多く発現しており、2つの肺癌細胞株(EGFR遺伝子変異を有するPC-9、EGFR野生型のA549)ではJAK2/STAT3阻害剤(JSI-124)に対して同等の感受性が示された。以上より、BAC成分を有する腺癌の進展部位にはSTAT3が強く発現しており、STAT3の阻害によりその進展を制御できる可能性が示唆された。
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Lung Cancer
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DOI:10.1016/j.lungcan.2011.05.015
Molecular Cancer Therapeutics
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