研究概要 |
小細胞肺癌に対する抗がん剤のキードラッグのエトポシドや塩酸アムルビシンの標的分子であるトポイソメラーゼII alphaは核細胞質間シャトル移行し核外輸送担体CRM1が関与する(Turner JG,et al.J Cell Science 117,3061-3071,2004)。また、小細胞肺癌において腫瘍抑制遺伝子であるp27は発現亢進しており、その意義と分子機序は明確にはなっていない。また、細胞質内p27蛋白の高発現は、CDK阻害機能の消失と浸潤性や転移能の関与する(Besson A,et al.Nature Rev Cancer 4,948-955,2004)と考えられているが明らかではない。 今回、細胞株におけるエトポシドや塩酸アムルビシンの抗腫瘍効果とトポイソメラーゼIIの核細胞質間シャトル移行と機能発現に関与するRanBP2の発現との間あるいは2つの抗がん剤の標的分子であるトポイソメラーゼIIの間には相関のないことを明らかに論文化した。 また、p27Skp2(2つのアイソフォームを含む)CRM1の3分子の遺伝子発現間に関連のあることがわかり、されにSkp2の高発現のある細胞株でのp27の遺伝子発現の消失が一部の小細胞株で認められ、Skp2の阻害により細胞死が誘導されている。今後、その機序について検討予定である。 小細胞肺癌における細胞質内のp27発現の意義については注意深く検討中である。
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