研究概要 |
平成22年度は以下の点を明らかにした。 1.Proレニン受容体((P)RR)はProレニンと結合してRAS系を活性化するとともに細胞に直接働き臓器障害を起こすと考えられる。一方、(P)RRは神経系の発達にも重要な役割を果たしていると考えられている。(P)RRの発現をヒト脳中枢神経系で検討した。結果、(P)RRは脳全体に広く発現しており、特に視床下部ではAVP分泌細胞と共存していることを見出し、報告した(J Neuroendocrinol.2010,22:453-459)。 2.Proレニン/Proレニン受容体系の腎障害への関与を検討するため、糖尿病性腎症患者の腎臓での発現の変化を検討した。結果、Proレニン受容体は糖尿病性腎不全患者の腎臓で発現が増加していることを見出し、報告した(Peptides2010,31:1405-1408)。 3.アドレノメデュリン2(AM2)はアドレノメデュリンと同様に血管拡張作用、心臓保護作用を有する。また、腎保護作用も有すると考えられる。AM2の発現を自然発症高血圧ラット(SHR)モデルで検討し、SHRの腎臓でAM2の発現が減少していることを見出し、報告した(Am J Physiol Renal Physiol.2010,299:Fl28-F134)。 4.AM2の発現をhypothalamo-pituitary-adrenal axis系で検討した。結果、AM2はこの系のほぼすべての組織で発現しているおり、AM2は神経伝達物質として働いている可能性が示唆された。(J Mol Neurosci.2011,43:182-192) 5.Proレニン受容体の遺伝子多型と心血管障害との関連を検討した。結果、Proレニン受容体の遺伝子多型が心肥大、無症候性脳梗塞及び慢性腎疾患(CKD)と関連することを認め、報告した(第43回米国腎臓学会(ASN)にて発表)。
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