研究概要 |
平成23年度は以下の成果を得た。 1.Proレニン受容体((P)RR)の遺伝子多型が、心肥大、無症候性ラクナ脳梗塞及び慢性腎疾患(CKD)と関連することを英文誌に投稿し、掲載された(Hypertens Res. 2011, 34:530-535)。本研究者らはすでに(P)RRの遺伝子多型が日本人男性の血圧と有意な関連があることを報告しており、合わせて、本研究の成果は(P)RRが実際にヒトの疾患に関係していることを世界で初めて証明した重要な成果である。 2.大迫研究における遺伝子多型分析研究として、アドレノメデュリン2(AM2)の遺伝子多型分析を継続して行い、AM2の遺伝子多型が、血圧、腎機能及び脳ラクナ梗塞の発症と有意に関連していることを見出し、報告した(Hypertens Res. 2011, 34:1327-1332)。 3.Proレニン受容体は可溶性(P)RR(sPRR)として血液中に存在することが報告されている。 sPRRを測定するための新規エンザイムイムノアッセイ(EIA)の開発のため、新しい抗体を作成した。本抗体を用いた競合的EIAにて、ヒト血中及び尿中にsPRRが存在することを証明した。サンドイッチELISAの構築を試みたが標準品としてのリコンビナント(P)RRを認識しないという技術的問題が発生し、実用化に至っていない。競合的EIAを用いて透析患者の血中sPRRを測定し、血中sPRRは透析の前後で有意に上昇すること、すなわちsPRRは体液の変動に反応する生理活性物質である可能性が高いことを見出した(Kidney Week 2011(第44回米国腎臓学会)にて発表)。
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