研究概要 |
1.アクチニン4のアクチン結合ドメインと相互作用する腎分子RACKIの同定とその相互作用の意義大腸菌two-hybrid法により、糸球体濾過バリアーの重要な構成蛋白質であるアクチニン4のアクチン結合ドメインと相互作用する腎分子RACK1を同定した。両者の相互作用は、invitroおよびinvivoでの結合実験(タグ付きリコンビナント蛋白質を用いたGSTpull-down法と、タグ付きリコンビナント蛋白質発現培養HEK293細胞を用いた免疫沈降法)で確認した。培養HEK293細胞を用いた免疫細胞染色像を共焦点レーザー顕微鏡で観察し、両者の共局在性を細胞辺縁の一部に認めた。アンジオテンシンHの添加により、共局在性は細胞質主体に変化した。近年、RACK1と種々の情報伝達系分子との相互作用が次々と報告されてきており(CellCommunSignal9:22,2011)、RACK1が情報伝達系で重要な役割を演じているものと推定される。本研究で、アクチニン4とRACK1との相互作用を初めて同定した。この相互作用は、シグナル伝達系を介した糸球体濾過バリアー機能維持に重要と考えられる。 2.本研究の背景と密接に関連した臨床研究 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)で想定されている糸球体濾過バリアー機能を破綻させる液性因子同定の手掛かりとして、末梢血単核球でのTh2サイトカイン発現の優位性を示してきたが、これに加え、難治性MCNSにBリンパ球系異常の関与を強く示唆する症例を報告した。また、自己免疫異常を背景とした糸球体濾過バリアー沈着症である二次性膜性腎症で、これまで報告のない免疫グロブリンサブクラスの沈着様式を報告した。
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