研究概要 |
本研究はDDS(Drug Delivering System)技術を応用し,抗酸化剤や降圧剤などの薬理効果が期待されるTEMPOLなどのニトロキシルラジカルをベースとした新たな腎保護薬・慢性腎臓病治療薬開発することを目的とする. 本年度の研究計画に従い研究を実施し,以下の成果を得た. 1.ニトロキシルラジカルの選定 ニトロキシルラジカル・誘導体は4-Hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine(TEMPO)およびそのヒドロキシルアミン体を用いナノ粒子を合成した. 2.ナノ粒子の合成およびin vitro評価 研究代表者・分担者により出願中の特許(特願2008-120626号)に基づき行った.RNPは内部構造の調整により,酸性域で粒子が崩壊し内部TEMPOが放出されるpH応答型RNPとpHの影響を受けないpH不応型RNPを作成した.得られたRNPは平均粒径約40nmでありDDSとしてターゲッティング可能なものであった.TEMPOと比べ還元物質に対し高い還元耐性を示した.pH応答型RNPはpH=5.5付近で粒子崩壊が確認された.RNPはブロードな1本線のESRスペクトルを示したが,粒子崩壊後はTEMPOと同様の3本線ESRシグナルを示し,ESRによりRNPの挙動が検出可能であることが確認された. 3.動物実験による生体内安定性・安全性の確認 RNPをラットに投与した際の生体半減期はpH応答型で約20分,pH非応答型で約5.7時間であり,TEMPOLそのものの半減期(約10秒)と比べ格段に優れた生体内安定性が示された.また毒性評価でもTEMPO,4-amino-TEMPOと比べ優れた低毒性を示した. 投与6時間後においてもTEMPO還元体が腎・肝など臓器中に還元され,長時間の抗酸化活性を認めた.
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