研究課題/領域番号 |
21591021
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
矢尾板 永信 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00157950)
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研究分担者 |
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
吉田 豊 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40182795)
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キーワード | 腎臓 / 糸球体 / 足細胞 / 密着結合 / claudin / in situ hybridization / 免疫染色 / RT-PCR |
研究概要 |
ポドサイトの細胞間結合複合体の構成分子と複合体形成機序を、密着結合を中心に解析した。ラット糸球体に発現しているclaudinを、定量的RT-PCRを用いて網羅的に調べたところ、claudin5が高発現していることを見出した。さらに糸球体の中でポドサイトにclaudin5の発現が限局していることがin situ hybridizationで分かった。抗体による検索を行うため、市販の抗体の特異性をclaudin5欠損マウスの染色と免疫沈降物の質量分析を行った。その結果、用いた抗体は、claudin5欠損マウスのポドサイトとは反応せず、野生マウスのポドサイトとは反応することが分かった。免疫沈降物の質量分析では、claudinとしてclaudin5のみが検出された。以上のことから、本抗体の特異性が示された。この抗体を用いて、免疫染色を行った。生理的な状態では、ポドサイトの細胞膜全体に連続して存在していたが、密着結合が増加してくる病的状態では、apical側の細胞膜上のclaudin5は減少し、密着結合により多く分布していた。単離糸球体を用いたWestern blot解析では、病的な状態での有意なclaudin5の増加は認められなかった。これらのことは、密着結合の形成機序として構成成分の合成増加より分布の変化が重要であることを示している。密着結合形成はポドサイトの傷害に対する反応のひとつであり、その反応機序を分子レベルで解明していくことが可能になった点で意義深い。
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