研究課題
メガリンは近位尿細管に発現し、糸球体濾過タンパク質を再吸収するエンドサイトーシス受容体である。1)ヒト尿中メガリン測定系を確立し、糖尿病性腎症の早期発見・重症度判定および心腎連関リスクに関する新しいバイオマーカーになりうることを示した(Diabetes Care2012)。さらに急性腎障害患者にも新たな測定意義を見出し、特許を出願した(斉藤、佐藤、飯野、竹田)2)肝臓で産生されたアンジオテンシノゲンが腎臓におけるレニン-アンジオテンシン系の活性化(アンジオテンシンIIの産生)に関わることを明らかにした。さらに糸球体を濾過したアンジオテンシノゲンは近位尿細管においてメガリンを介して取り込まれることを示した(JASN2012)。さらにメガリンがどのようにしてアンジオテンシンIIの産生に関わるかについて研究を進めた。(斉藤)3)2型糖尿病やMetSにおいては血液中のエンドトキシン(LPS)が増加するが、LPSが培養PTCにおいて、TNFαの発現誘導を介してメガリンの発現を抑制すること、さらにその下流はERK1/2経路が関係することを見出した(BBRC2011)。(斉藤、佐藤)4)メタボリックシンドロームモデルであるOLETFラットにおいて、ケモカインのMCP-1の発現とその受容体であるCCR2が近位尿細管で増強することを明らかにした。(斉藤、佐藤、飯野)5)腎特異的メガリンKOマウスおよび対照マウスに高脂肪食を与え、2型糖尿病モデルを作製したところ、メガリンKOマウスでは腎障害(近位尿細管および糸球体障害)が軽減すること、すなわちそれらの腎障害にはメガリンの存在が寄与することを明らかにした。さらに、その発症機序においてエンドサイトーシス系とオートファジー系の異常が関連すること、すなわちautolysosomeの異常が起こることを見出した。(斉藤、佐藤、飯野)6)高効率の新しい腎特異的メガリンKOマウスの作製に成功した。(斉藤、佐藤)
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