研究課題
基盤研究(C)
近位尿細管上皮細胞エンドサイトーシス受容体メガリンの分子機構の解析を行い、さらにメガリンを用いた慢性腎臓病の新規診断法の開発を行うと共に、慢性腎臓病の病態(レニン-アンジオテンシン系)におけるメガリンの役割について検討を行った。1)メガリンの細胞内ドメインがアダプター蛋白Dab2を介してnonmuscle myosin heavy chainIIAと結合し、それがエンドサイトーシスの駆動力となるとなることを明らかにした(Kidney Int 2009)。2) 2型糖尿病やタボリックシンドロームにおいては血液中のエンドトキシン(LPS)が増加するが、LPSが培養PTCにおいて、TNF.の発現誘導を介してメガリンの発現を抑制すること、さらにその下流はERK1/2経路が関係することを見出した(BBRC 2011)。3)ヒト尿中メガリンELISA測定系を確立し、糖尿病性腎症の早期発見・重症度判定および心腎連関リスクに関する新しいバイオマーカーになりうることを示した(Diabetes Care 2012)。4)肝臓で産生されたアンジオテンシノゲンが腎臓におけるレニン-アンジオテンシン系の活性化(アンジオテンシンIIの産生)に関わることを明らかにした。さらに糸球体を濾過したアンジアンジオテンシノゲンは近位尿細管においてメガリンを介して取り込まれることを示した(JASN 2012)。
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