研究概要 |
腎障害の進行過程で主たる炎症の場となるヒト尿細管細胞とヒトメサンギウム細胞に、機能的なペルオキシゾーム増殖薬応答性受容体(PPAR)-δ,γ蛋白の発現を確認した。アンジオテンシンII受容体阻害薬であるテルミサルタンはPPAR活性化作用を有し、標的遺伝子である脂肪酸結合蛋白(FABP),肝X受容体等の発現を誘導するとともに、単球走化性ペプチド(MCP)-1産生を抑制し抗炎症作用を呈した。PPARのリガンドの転送蛋白であるFABPを過剰発現するマウス尿細管細胞では、PPAR-発現が増強し、MCP-1産生が抑制された。以上より、PPAR, FABPの機能・動態に影響しうる活性化物質は、慢性腎臓病の新規治療薬の可能性があると推測された。
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