研究課題
近年、骨髄由来間葉系幹細胞(MSC=mesenchymal stem. cell)が組織再生促進作用および免疫抑制作用を有することが明らかとなり臨床応用が進んでいる。我々は、骨髄よりも採取が容易で増殖力も強い脂肪由来間葉系幹細胞(ASC=adipose tissue-derived stem/stlomal cell)に着目して検討を進めてきた。我々の研究の最終ゴールはASCの再生促進作用と免疫抑制作用を融合し、腎疾患に対する新たな細胞治療を開発することである。本研究はそのための基盤研究と位置づけられる。今回は特にAscの免疫抑制能に関して検討した。In vitroの系では、Ascを高血清(20%)および低血清(2%)条件で培養してリンパ球抑制能につき検討した。末梢血単核球分画をPHAで刺激し、低血清培養ASC(LASC)および高血清培養ASC(HASC)を投与したところ、LASC群ではT細胞増殖抑制作用が観察されたが、HASC共群ではこうした効果は認められなかった。Transwellを用いた検討では、T細胞抑制作用が液性因子に起因することが明らかとなった。一方、B細胞増殖に対する抑制効果はLASC、肌SCともに認められなかった。In vivoの系は、ラットにブタ赤血球を投与する異種移植モデルを用いた。このモデルに対し、骨髄由来MSC、HASC、LASCを経静脈的あるいは腹腔内に投与した。静脈内に投与したLASCのみが有意な異種抗体産生抑制効果を呈した。本研究では、in vitroでのT細胞抑制およびin vivoでの異種抗原に対する抗体産生といったモデル、つまりLASCの免疫抑制作用を定量する系が確立された。このことは、今後LASCの免疫抑制作用に関する分子機序を解析する上で大きな意義を持つ。今後網羅的な解析により得られた候補分子は、今回の研究で確立した系で評価することが可能となる。このことは今後の研究を加速するものと期待される。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件) 学会発表 (44件) 産業財産権 (1件)
Xenotransplantation
巻: 18(3) ページ: 196-208
Clin Exp Nephrol
巻: 15(5) ページ: 727-37
Am J Pathol
巻: 178(2) ページ: 572-9
巻: 15(3) ページ: 346-54
Intern Med
巻: 50(5) ページ: 471-4
Hum Pathol
巻: 42(6) ページ: 848-58
Nephrol Dial Transplant
Int J Urol
巻: 18(9) ページ: 659-66
doi:10.1111/j.1442-2042.2011.02795.x
Aging (Albany NY)
巻: 3(6) ページ: 597-608
Am J Nephrol
巻: 34(3) ページ: 249-255
巻: 50(16) ページ: 1719-23
Cell Biol Int
巻: 35(6) ページ: 559-68
巻: 15(6) ページ: 861-7
巻: 15(6) ページ: 962-5
Nephrol Dial Transpl