マウスES細胞とiPS細胞から腎臓の尿細管上皮細胞への分化誘導方法の検討をおこなった。Ksp-Cadherinをマーカーとして尿細管上皮細胞への分化誘導を検討したところ、ActivinはKSP-Cadherinの発現を促進しており、腎臓の発生においても後腎間葉の上皮化を促進することが明らかとなった。一方、マウスiPS細胞においても同様の傾向を認めたが、iPSでは、ES細胞に比して、分化しにくいという結果が得られた。しかし、効率のよいES細胞の場合であっても、Activinのみの誘導では、Ksp-Cadherin陽性細胞の比率は、FACSにおいて、5%以下であった。そこで、Ksp-Cadherin陽性細胞を純化する必要があり、そのためには質の高いKsp-Cadherinモノクローナル抗体を作製し、FACSによって、純化する必要があると考えた。Ksp-Cadherinの細胞外ドメインを抗原として、モノクローナル抗体を作製した。抗Ksp-Cadherinモノクローナル抗体を用いたFACSによって、ES細胞から、尿細管上皮細胞を誘導する方法を今後検討していく予定である。 Gs15にHB-EGFをつないだトランスジーンを持つGs15-EGFPマウスでは、ジフテリア毒素の投与により、近位尿細管S3セグメント特異的に障害を起こすことができる。本マウスを用いてS3セグメントの急性尿細管壊死における役割を明らかにした。S3セグメント特異的な障害のみでも、臨床的な急性腎不全がおこることが明らかとなり、S3セグメントの重要性が明らかとなった。本研究成果をTransgenic Research誌に報告した。
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