研究課題/領域番号 |
21591040
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
堀越 哲 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80260884)
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研究分担者 |
富野 康日己 順天堂大学, 医学部, 教授 (60130077)
鈴木 祐介 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70372935)
中田 純一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (20365638)
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キーワード | IgA腎症 / 扁桃摘出術 / TLR9 |
研究概要 |
我々はこれまでの基礎的な検討から本症モデルマウスにおいてIgA腎症と粘膜免疫が深く関与していることを確認している。Mucosa-Bone marrow axisの見地から粘膜には異常な感作を受けた責任細胞が存在し、それは粘膜で感作を受けた後、骨髄・リンパ組織間を選択的に移動し免疫記憶細胞として留まっていることが病因として推測される。本症の治療として扁桃摘出術が奏功していることからも粘膜の場として、扁桃が深く関わっている可能性が示唆されたほか、B cellが深く関連する可能性を見いだした。マウスによる基礎的な検討から腎症の発症と進展にTLR9発現が深く関連することを既に見いだしている。扁桃におけるTLR9発現が高い患者ほど、治療後の血尿、蛋白尿の寛解率が高い傾向にあることが見いだされた。8週齢のgrouped ddYマウス"とコントロールのBALB/cマウスから汎脾臓細胞を抽出し、CD19を磁気標識してCD19陽性細胞(B細胞)を分離した。これらの細胞からRNAを抽出し、SABioscience社のRT^2Profiler^<IM>PCR Array Systemを使用して、CD19陽性におけるケモカイン・ケモカインレセプターの発現様式を網羅的に解析した。高発現遺伝子としてPPBP、PF4、CXCL5が、低発現遺伝子としてCCR4、CCR6などが候補として挙げられた。しかし週齢によりその発現パターンにぱらつきを認めた。またヒト扁桃細胞を用いて同様にCD19陽性細胞を分離し、ケモカインレセプター発現様式を解析したがばらつきが大きく一定の傾向を見いだすことはできなかった。加えて摘出したヒト扁桃を用いてTLR9発現と、扁桃摘出術、ステロイドパルス療法による治療効果を検討した。49名のIgA腎症患者で検討し摘出した扁桃におけるTLR9発現が全測定値のmean+SD以上の患者が治療後の血尿、蛋白尿の寛解率が高いこと、また扁桃摘出術前後で血清IgA値の減少率が大きい患者が蛋白尿の寛解率が高い傾向にあることを見いだした。
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