研究概要 |
糖尿病患者では、非糖尿病に比較して睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,SAS)を合併しやすいことが知られていることから、SASが糖尿病を悪化させて、糖尿病性腎症の進行にSASが深く関与している可能性がある。そこで、遺伝的に糖尿病を発症するマウスであるAkitaマウスを用いて検討した。 方法:Akitaオスマウス(n=10)および野生型オスマウス(c57/black,n=10)を用いた。腎障害の進行をより促進するため、すべてのマウスで片腎摘出を行い、一週間後にAkitaマウス(n=10)および野生型マウス(n=10)をそれぞれ2群にわけた。低酸素刺激を行う群では、一日12時間、10分間ごとに10%の酸素濃度になるように設定したOxycycler^<[○!R]>内に12週間入れ、その後、腎摘を行った。コントロールは、Oxycycler^<[○!R]>に入れず、通常の飼育環境に12週間おいた後、腎摘を行った。4週間ごとに血圧、血糖、尿アルブミン、尿NAG,尿NGALの測定を行った。12週間後に摘出された腎臓から遺伝子・蛋白抽出を行い、炎症性サイトカインの発現を検討した。また、HE染色/PAS染色を行い、形態学的検討を行った。 結果:血圧は、4群間で同程度であった。血糖は、野生型に比べ、有意にAkitaマウスで高値であったが、低酸素による影響はなかった(100-200mg/dl vs 450-600mg/dl)。尿中アルブミン排泄は、野生型に比べ、有意にAkitaマウスで高値であったが、低酸素による影響はなかった(18-74mg/g.cre vs 62-192mg/g.cre)。尿中NAGや尿中NGALは、4群間で同程度であった。腎臓でのMCP-1発現は、4群間で同程度であった。形態学的検討でも、すべての群で尿細管間質障害は、認められなかった。 考察:片腎摘出したAkitaマウスに12週間という長期間、低酸素刺激を負荷し続けたにも関わらず、尿細管間質障害を発症させることができなかった。今後は、薬剤により発症させた糖尿病マウスモデルで検討を行う。
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