研究課題/領域番号 |
21591046
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
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研究分担者 |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50346441)
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キーワード | 腎線維化 / 遺伝子改変動物 / マウス / Wnt / 尿細管細胞 / 細胞周期 / G2/M / Klotho |
研究概要 |
Klotho蛋白がWntと結合し、そのシグナルを抑制することが報告されている。Wntは片側尿管結紮(UUO)により活性化し、腎線維化に関与している。我々は、「Klotho蛋白は腎線維化過程において、Wnt-signal系抑制により線維化を抑制し腎保護作用を発揮する」との仮説を立て実験を行った。今年度はIn vivoでマウスへKlotho発現plasmidの遺伝子導入を行い、Klotho過剰発現による腎線維化抑制効果を検討した。8週齢Klothoヘテロマウス(KL-hetero)、C57BL/6マウス(Wild)にUUO手術またはsham手術を施行し、14日後に屠殺し組織を検討した。KL-heteroにはKlotho発現plasmidの筋肉内遺伝子導入を行い、腎間質線維化の影響を検討した。腎重量/体重比、Masson染色、CTGF、TGF-beta、type III collagen発現にて線維化の検討を行った。Wnt-signalはWnt-inducible geneのT cell factor 1、c-myc、WNT-inducible signaling protein 1、fibronectin発現、及びbeta-catenin、fibronectinのWestern blot解析にて検討した。腎重量/体重比はUUO14日後でWild-UUOに比較し、KL-hetero-UUOで有意に低下していた。Masson染色での線維化面積定量、TGF-beta、type III collagen、CTGFのmRNA発現のいずれもKL-hetero-UUOで有意に増加していた。 Wnt-signal、Wnt-inducible geneのmRNA発現ともに、KL-hetero-UUOで有意に増加していた。Klotho発現plasmid遺伝子導入により、これらの変化は抑制されていた。また、ヒト近位尿細管細胞(hPTEC)へのWnt3a刺激に対するKlotho蛋白の効果を検討するため、Klotho発現plasmidを作成し(pCAGGS-klotho)、ヒト近位尿細管細胞へtransfectionさせ、Wnt3a刺激を行った。KlothoのWnt-signal抑制効果を細胞周期のFACS解析、Western blot解析にて検討した。pCAGGS-klothoをtransfectionしたhPTECでは、Wnt3aによるG2/M期の延長が抑制されていた。Klotho蛋白は腎線維化過程において、Wnt-signal系抑制により線維化を抑制し腎保護作用を発揮することが明らかとなった。
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