研究概要 |
1.CKDにおける糸球体内皮細胞のECDとアルブミン尿出現の解析 (1)糸球体係蹄壁におけるGlycocalyxの解析と病態腎における変化の検討 糸球体内皮細胞は有窓性(fenestraed)であり、内皮表層・fenestra内部のGlycocalyx層をlanthanumを用いて電子顕微鏡で可視化しえた。またlectin (WGA, Isolectin B4等)を用いて染色観察する。heparanase, heparitinase, chondroitinase, hyaluronidase, neuraminidase等の糖鎖分解酵素を用いて、正常糸球体係蹄壁のGlycocalyx構成成分を解析した。次いで、STZ-DM, MetSモデルであるZucker obese rat (ZOR)、Glycocalyx変化を解析した。さらに2-photon顕微鏡を用いて、経静脈的にlectin投与し、生体腎におけるGlycocalyxの存在様式を解析する。 2.糸球体高血圧(過剰濾過)、糸球体ECD、アルブミン尿出現の相互関係の検討 Leica社製TCS SP2 2-photonレーザー顕微鏡を用いて生体腎における輸出入細動脈径変化、微小血管血流、濾過、再吸収、病的状態下でのpermeability亢進を可視化検出しうる技術を確立した。各種probeを用いて、ラット及びマウスにおいて糸球体・間質毛細血管血流、糸球体濾過の動態が観察可能であった。輸出入細動脈径も測定可能で、病態での輸入細動脈自動調節能の異常を検出しえた。同時に生体糸球体の3次元立体構築変化を解析した。 STZ-DM, ZOR, Dahl HT, Nxモデルにおいて、FITC-Albumin, FITC-40kD, 70kD Dextranの濾過状態を観察した。rhodamine標識lectinを先行投与し、糸球体Glycocalyxを可視化しておけば、Glycocalyx減少部位からアルブミンが漏出することを確認した。同様にDAR-4Mを同時灌流しbioavailable NOの減少部位との関連を評価した。以上により、Glycocalyx破綻、NO減少によって示される糸球体内皮障害がアルブミン尿出現に関係することが判明した。
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