研究課題/領域番号 |
21591049
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
斉藤 喬雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10125552)
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研究分担者 |
中島 衡 福岡大学, 医学部, 准教授 (70188960)
笹冨 佳江 福岡大学, 医学部, 講師 (30369003)
安部 泰弘 福岡大学, 医学部, 助教 (50461512)
伊藤 建二 福岡大学, 医学部, 助教 (00580234)
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キーワード | 脂質 / 遺伝子 / 応用動物 / 病理学 |
研究概要 |
平成22年度までの研究で、アポ蛋白(apo)EおよびFc受容体Y鎖(FcRY)二重欠損マウスにヒトの野生型であるapoE3cDNAを組み込んだアデノウイルスベクターを注入すると、もっとも効率的にリポ蛋白糸球体症(LPG)に特徴的なリポ蛋白血栓が生じることが明らかとなったため、このヒトapoE3組み込みマウスについて、生化学的観察を行うとともに、摘出腎の病理学的検討を行った。これらの所見とApoE-Sendai注入マウスや対照のLacZ注入マウスの所見を比較し、必要に応じてapoEおよびFcRY単独欠損マウスへのアポE注入結果とも比較した。さらに、マクロファージ(Mψ)の機能について、糸球体におけるMψマーカーのCD68陽性細胞率を検討するとともに、二重欠損マウスとFcRY単独欠損マウスの腹水中のMψを酸化低比重リポ蛋白(oxLDL)と培養し、脂肪染色やサイトカインの産生状況から検討した。 その結果、LPGに特有のリポ蛋白血栓は二重欠損マウスにヒトapoE3を注入した場合に最も著明であったが、この所見は血清トリグリセリド(TG)とくに超低比重リポ蛋白分画の上昇と関連していた。また、これらのマウスでは、Mψを示すCD68陽性細胞が糸球体:で有意に減少し、FcRY欠損マウスの腹水から採取されたMψをLDLと培養した結果では、脂肪の取り込みや、Mψ活性を示すMCP-1やRANTESなどのサイトカイン産生低下が認められた。以上の結果から、LPGの発症には、アポE異常が関わる高TG血症とともに、FcRY欠損によるMψの機能不全が関与していることが示唆された。 これまで、脂質異常症による糸球体障害については、粥状動脈硬化症に類似したMψスカベンジャー化による糸球体硬化の機序が考えられてきたが、今回の研究では、Mψの機能不全が脂質蓄積をもたらし、糸球体障害を発症する可能性が示唆された。このような知見はこれまで報告されておらず、意義深いものと考えられる。
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