研究課題
水チャネルAQP2は腎臓の集合管で水の再吸収に関わっており、その細胞内輸送は体内水分量の調節を担っている。AQP2の遺伝子異常は腎性尿崩症を来すが、心不全、肝硬変などさまざまな病態で引き起こされる水代謝疾患でもAQP2の輸送異常が認められる。しかし、どのような機序によりAQP2が動くのかについては全く不明であった。最近我々はトロポミオシン5bアイソフォーム(TM5b)がAQP2輸送の最終局面で直接輸送を阻害することを明らかにした。このため今回はTM5bを標的とすることにより特異的な腎性尿崩症の治療法の開発を試みている。本年度においては腎尿細管由来MDCK細胞においてTM5bの発現のみを最大限抑制し、他のトロポミオシンアイソフォームを抑制しない最適なRNAi配列の検討を行い、さらにそのsiRNAでノックダウンすることにより変異AQP2の輸送障害を正常レベルまで回復させることに成功した。またAQP2の水チャネルの機能がリン酸化により制御されていることをリコンビナントタンパク質のプロテオリポソーム再構成系で明らかにした。さらにAQP2および複数の結合分子によるプロテオリポソーム再構成系を作成した。この系においてAQP2に直接モーター分子を制御する能力があるかどうかについて検討を行っている。
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