研究課題
1. 膜補体制御因子(CRegs)の機能を抑制する中和抗体を用いて、腹膜に分布する3つのCReg(Crry, CD55, CD59)の中で、特にC3レベルのCrryとC5b-9形成レベルのCD59が共同して、腹膜の過剰な補体活性化を、制御に働いていることを示し、腹膜透析液の二つのパラメータ(pHとブドウ糖濃度)によって、より補体の活性化が強調される可能性について、in vivoとin vitroで証明し、論文報告(Nephrol Dial Transplant 2011, in press)した。現在、さらに、腹膜透析液のpHと浸透圧に注目して、これらが腹膜の補体系に与える影響を解析するために、ラッド中皮細胞(primary culture)を用いて、膜補体制御蛋白分子の発現への影響とそれに伴う補体活性化への影響を検討中である。2. 先に作成して論文報告したZymosanにより誘導される腹膜炎モデル(J.Immunol. 2009)で、補体の関与で、急性から亜急性の重篤な腹膜障害が発生する可能性を示した。今年度は、一旦発生したこの腹膜障害が、半年の経過でも炎症が持続することを観察した。さらに、このモデルを用いて、特に重篤として知られる真菌性腹膜炎後に被嚢性腹膜硬化症(EPS)に陥るケースがあるが、この機序を実験的に示すことができないか、特に補体関与の可能性について、現在検討中である。3. ヒト腹膜炎の腹膜透析排液を用いて、実際に補体の活性化が病状に影響を与えているかどうかについて、補体活性化物質の測定開始と、サンプル数の確保のための検体の収集を行っている。排液中の補体活性化物質測定は、ELISA法で可能なこと、再現性のあることを、今年度は確認している。4. 今後の研究の進展により、補体関与の機序と、抗補体療法の可能性と臨床的位置づけを明らかにできるものと考える。
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Internal Medicine
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