研究課題
私たちは、プロスタシンの高血圧、組織障害に関する研究を続けているが、以前プロスタシンが腎尿細管に存在する上皮型Naチャネル、ENaCを活性化し、血圧調節に関与する可能性を報告した。これに加え、アデノウイルスベクターを用いてラットにプロスタシン遺伝子を導入した実験より、プロスタシンはアルドステロン濃度を上昇させることによっても血圧を上昇させる可能性が示唆された。そこでアルドステロン産生酵素であるCYP11B2のpromoter-luciferase constructをtransfectionしたヒト副腎腺腫細胞H295R細胞を用い、リコンビナントプロスタシンがCYP11B2の誘導を行い、アルドステロンの産生、分泌を促成することを証明し、引き続きその情報伝達経路を検討している。また本年度はアルドステロンによる腎障害のメカニズム解明のために、アルドステロンと食塩を負荷して腎障害を誘導したラットに、セリンプロテアーゼ阻害剤であるメシル酸カモスタットを投与しその効果を検討したところ、メシル酸カモスタット投与群において血圧上昇の抑制および腎障害軽減が認められ、アルドステロンによる腎障害にセリンプロテアーゼが大きな役割を果たしていることが示された。さらに、このアルドステロン及び塩分負荷ラットの腎組織中に、メシル酸カモスタットにより阻害される何らかのセリンプロテアーゼの活性が亢進していることが判明し、現在このプロテアーゼを同定中である。
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Journal of Biomedicine and Biotechnology
巻: 2010 ページ: 1-9
腎と透析
巻: 68巻5号 ページ: 792-795