研究課題
我々は臓器特異的プロスタシンノックアウトマウスの解析を進め、今まで全く想定されていなかった、意外かつ非常に重要なin vivoにおけるプロスタシンの新しい役割を発見し、現在投稿準備を行っている。また我々は、慢性腎不全モデルである5/6腎摘ラットにおいて、セリンプロテアーゼ阻害薬であるカモスタットが腎不全進行を抑制することを示したが、カモスタット群では酸化ストレスマーカーが挿制されていた(投稿中)。カモスタットはプロテアーゼ阻害薬であり抗酸化作刷ま有しておらず、プロテアーゼ活性を阻害することにより、醸化ストレスを軽減し、腎障害を軽減したことになる。これまで酸化ストレスによる、MMPをはじめとするプロテアーゼの活性調節については多くの報告があるが、プロテアーゼによる酸化ストレス調節についての報告はなく、これもセリンプロテアーゼの、臨床につながる新しい役割を示す至のとなる。またこのモデルにおいて、カモスタットは腎不全への進行を抑制するのみならず、蛋白尿についても著明な効果を示し、免疫組織学的検討により、糸球体上皮細胞への保護効果を示すことが分めめた。カモスタットは既に本邦で膵炎への経口治療薬として使用されているため、早期の臨床応用が可能と考えられ、今回の発見は腎不全治療における非レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系薬剤の発見という意味において、臨床的に非常に重要なものであると考えられる。
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