本研究の目的は、HAI-1Bによる血圧・ナトリウム代謝制御の分子基盤の解明及び創薬を行うことである。具体的には、最初に培養細胞においてHAI-1BのNa輸送に関わる重要性を明らかにした上でHAI-1B欠損マウスを用い、これに食塩負荷を行い、食塩感受性高血圧の発症や進展の有無を明らかにすることである。 本年度の研究は、まずマウス集合尿細管培養細胞(M-1細胞)にHAI-1B cDNAを発現させ、細胞間に流れる電流をEVOMを用いて測定した。HAI-1Bを過剰発現させるとこのNa電流が有意に抑制されることを明らかにした。また、この時この細胞中のプロスタシンのmRNAの発現量には変化がなかった。HAI-1Bが内因性のプロスタシン活性を抑制することにより上皮型ナトリウムチャネルの活性を阻害することにより生じることが考えられた。 次にHAI-1B腎特異的欠損マウスを作製するため、HAI-1B-LoxPコンストラクトを作製し、準備中である。このマウスが完成したらAQP2プロモーターのCreマウスと交配し、腎特異的欠損マウスが得られる予定である。
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