研究概要 |
「脳への骨髄由来単核球細胞の分布不全が脳内レニン-アンジオテンシン系および酸化ストレスの抑制不全をひきおこし高血圧の病態に関与している」という仮説のもと平成21年度は以下の実験を行った. 目的1:高血圧ラットの骨髄由来単核球細胞では分布・生着能にちがいがあるかを調べる (1) 骨髄由来単核球細胞の増殖能 採取機会により骨髄由来単核球細胞の増え方に大きな違いがあり、高血圧ラットの細胞と正常血圧ラットの細胞での増殖能の違いに関しての結論は得られなかった. (2) 骨髄単核球細胞の内皮細胞増殖におよぼす影響 骨髄由来単核球細胞の培養上清は内皮細胞(HUVEC)の培養上清に比べHUVECのBrdUの取り込み(24時間後)を約2倍に増やした.このHUVECにおけるBrdU取り込み増加は、高血圧ラット由来骨髄単核球細胞培養上清と正常血圧ラット由来培養上清で差はなかった. (3) 標識骨髄単核球細胞の自家移植実験 DiIで標識した培養骨髄単核球細胞(50万個/0.35mL)を尾静脈より注入し脳内の分布を組織学的に検討したが,高血圧ラットおよび正常血圧ラットともに脳で検出できなかった.標識細胞の脳室内投与4週後に行った検討では脈絡叢,脳室周囲および一部脳実質内にDiI陽性細胞を認めた.高血圧ラットと正常血圧ラットで分布に明らかな違いはなかった.
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