尿毒症性心筋症(UC)は特発性心筋症(DCM)と類似の病理所見を呈することが報告されている。UCの原因はmultifactorialと考えられているが、その中にDCMと同様、自己免疫的機序が関連している可能性がある。本研究では、各種心筋抗体とUCの関連について、CKD患者及び腎不全モデル動物を用いて検討した。その結果、抗心筋抗体の中でも抗β1 adrenergic receptor抗体(βARAb)が高頻度に検出され、腎機能の悪化とともにその検出頻度は上昇した。また、透析患者では、βARAb陽性患者では低左心機能症例が高頻度に認められた。βARAb陽性UC患者に対して、二重膜濾過血漿交換による抗体除去療法を施行したところ、心機能の改善がみられ、これらのことからUCの病態には抗心筋抗体を介した自己免疫機序の関与が推察された。
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