研究課題
アンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)は、日本において6種類発売されている。また、様々な基礎的研究データが報告されているが、各々のデータが一度に出ているわけでなく、実験系も多少ながら異なっている。まず、この6種類のARBを全く同じ実験系で基礎的データを集積した。測定項目は、受容体との結合能試験、インバースアゴニズム効果、受容体との結合様式、リガンド洗い流し試験を実施した。また、抗炎症作用についても検討した。結合能は、アンジオテンシンII拮抗作用として表し、イルベサルタンが最も強力であり、弱いのはロサルタンであった。イルベサルタンとロサルタンの違いについて検討し、インバースアゴニズム効果やリガンド洗い流し試験において、イルベサルタンはロサルタンよりもインバースアゴニズム作用が強く、受容体からの解離率も低率であった。オルメサルタンでもインバースアゴニズム作用が強かった。また、monocyte chemoattractant protein(MCP-1)の産生に対する効果を冠動脈内皮細胞培養系において検討し、イルベサルタンがMCP-1分泌を抑制していたことがわかった。さらに、イルベサルタンは、nuclear factor kappa B(NF-γB)活性を有意に抑制し、イルベサルタンによるMCP-1分泌抑制作用は、NF-γBの活性抑制を介している可能性が示唆された。イルベサルタンは、peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)γを活性化させ、アディポネクチンの分泌量を有意に増加していた。このような抗炎症作用はロサルタンでは弱かった。したがって、ARBの中でもイルベサルタンは、ARBに共通した効果(クラスエフェクト)とともにARBごとに異なる効果(ドラックエフェクト)を持ち合わせていることは確かであろうと思われた。現存のARBの利点(イルベサルタン)について明らかとなった。
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