本研究では、1)ミトコンドリア遺伝子重複変異を伴う家系の臨床像の検討を行い、MELAS/MERRF overlap症候群の臨床像と筋病理所見を明らかにした。2)ポリグルタミン病における筋エネルギー代謝の解析を行い、マシャドジョセフ病において筋エネルギー代謝が有効性判定の生化学的指標になり得る可能性を見い出した。3)SCA14モデルマウスの作製を試み、ヒトPRKCGノックインマウスを作製した。ミトコンドリア遺伝子重複変異を伴う家系については、発症者は全員ミトコンドリア遺伝子tRNA領域にT8356CとA3243Gの2つの変異を認めた。両変異とも病的意義が確定している変異であり、このような病的意義の確定したミトコンドリア遺伝子変異を持つ家系の報告は世界初である。臨床病型はMELASとMERRFの重複型であり、筋病理所見もそれに合致するものであった。ポリグルタミン病における筋エネルギー代謝の解析については、汎用機である1.5TMRIを用いて^<31>P-MRSによる筋エネルギー代謝測定を行い、ポリグルタミン病であるMachado-Joseph病(MJD)において、その測定法を試行した。その結果、筋エネルギー代謝がMJDにおいて有効性判定の生化学的指標になり得る可能性が示唆された。SCA14モデルラットについては、ヒト野性型と変異型PRKCGを組み込んだノックインマウスが完成し、現在繁殖作業を行っている。
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