本研究では、1)ポリグルタミン病における筋エネルギー代謝の解析を行い、マシャドジョセフ病において筋エネルギー代謝が有効性判定の生化学的指標になり得る可能性を見い出した。2)SCA14モデルマウスの作製を試み、ヒトPRKCGノックインマウスを作製し行動解析を行った。3)外眼筋麻痺を伴うパーキンソニズムについて遺伝子解析研究を行った。4)ALSにおける高次脳機能解析をPETを用いて行った。その結果、ポリグルタミン病における筋エネルギー代謝の解析については、汎用機である1.5T MRIを用いて31P-MRSによる筋エネルギー代謝測定を行い、ポリグルタミン病であるMachado-Joseph病(MJD)において、その測定法を試行した。その結果、筋エネルギー代謝がMJDにおいて有効性判定の生化学的指標になり得る可能性が示唆された。SCA14モデルラットについては、ヒト野生型と変異型PRKCGを組み込んだノックインマウスが完成し、現在繁殖作業および行動観察を行っている。外眼筋麻痺を伴うパーキンソンニズムの研究においては、臨床所見としては、本邦の患者のパーキンソニズムはパーキンソン病によるものとして矛盾しないことと、遺伝子解析においては、筋組織でのmtDNA欠失は認めないものの、POLG1遺伝子の複合ヘテロ接合変異を認めるものと、mtDNA欠失は認めるが、いずれの候補遺伝子にも変異を認めなかいものがあることを報告し、本邦の進行性外眼筋麻痺を伴うパーキンソニズムには複数の要因が関与していることと、未知の原因による進行性外眼筋麻痺を伴うパーキンソニズムにおいてもmtDNA修復機能の障害が関与していることを明らかにした。また、ALSにおける書字障害は前部帯状回の機能が関与している可能性を明らかにした。
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