研究概要 |
Tg2576マウスではその早期からlipid rafts分画にAss oligomerの蓄積が認められた.TgTauP301LマウスおよびTgαSYNマウスではその早期からlipid rafts分画にtauおよびα-synucleinの蓄積が認められた.またAss,tau,α-synucleinのモデルマウスの神経細胞内異常凝集蛋白蓄積とlipid raftsマーカーのflotillinは共存していた.以上の検討からlipid raftsは神経変性疾患の共通した蛋白蓄積部位と考えられた. TgTauP301LマウスにNiemann-Pick type C1モデルマウス(NPC-)を掛け合わせたTau+NPC-/-マウスでは大脳皮質に2月齢で著明な腫大神経突起が出現し,tau,リン酸化tauおよびGSK3ssが蓄積した.このtau蓄積はlipid rafts markerのflotillinやfilipinと共存していた.生化学的にもlipid rafts分画にtau,リン酸化tauおよびGSK3ssの蓄積が増加した.Tau+NPC+/-マウスではTau+NPC+/+マウスと比べて20月齢でneuronおよびgliaへのpretangle蓄積が促進され,lipid rafts分画でのtauおよびリン酸化tauが増加した.NPC1遺伝子のloss of functionによるコレステロール代謝障害はlipid raftsにtau,リン酸化tauの蓄積を生じ,tangle形成を促進する可能性がある. 以上の検討からlipid raftsにおける蛋白蓄積およびoligomer形成制御は神経変性疾患の根本的治療法になりうると考えられた。
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