研究概要 |
Aβ産生マウスTg2576と変異tau産生マウスTgTauP301Lを掛け合わせてdoubletransgenic mouse(doubleTg)を作成してAβ蓄積がtau蓄積を誘発する機序の検討を行った.8-23月齢のdouble Tg(n=21),Tg2576(n=16),TgTauP301L(n=20)およびNonTg(n=23)で半脳はparaform固定して免疫組織を行った.半脳は1% Triton-X MBS buffer pH6.5でhomogenizeし,不連続蔗糖勾配を作成し,100,000gで4℃19時間遠心してlipid rafts分画を含む各分画を採取した.各分画をwestern blottingで解析した.double TgではTgTauP301Lと比べてtauの蓄積部位,蓄積量に当初は変化を認めなかったが,20月齢の高齢になってリン酸化tauの蓄積促進を大脳皮質,海馬に認めた.一方,doubleTgとTg2576ではAβ蓄積に変化を認めなかった.Double Tg,TgTauP301Lでは初期からlipid rafts分画にtau蓄積を認めたが,20月齢ではdouble Tgでリン酸化tauおよびtauリン酸化酵素であるGSK3βの有意な蓄積亢進を認めた.double TgとTg2576ではlipid rafts分画に経時的にAβ oligomerが蓄積したが,その蓄積量に差は認められなかった. Alzheimer病ではAβ蓄積がリン酸化tau蓄積を誘発して神経細胞死を起こすと考えられているが,その誘発機序は明らかではない.我々の検討からlipid raftsにおいて神経毒性の高いAβ oligomerが蓄積することでリン酸化tau蓄積を促進する可能性が考えられた.Lipid raftsはsecondary tauopathyを阻止するためのtargetになりうると考えられる.
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