内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)は血管内皮機能維持に重要な分子である。脳虚血急性期にはeNOSの発現は亢進するものの、Ser1177部位のリン酸化は大きく低下しており、機能不全の状態であることを見出した。Rho-kinase阻害薬はeNOSリン酸化を亢進させることで虚血性脳障害を緩和した。また高血圧状態では脳小血管のeNOSリン酸化が低下しており、脳虚血病態を悪化させることを示した。降圧治療によりeNOSリン酸化を保持することが可能であり、さらにphosphodiesterase3阻害薬は降圧とは独立してeNOSリン酸化を保持し、内皮保護、脳虚血障害の緩和に寄与することが明らかとなった。
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