研究概要 |
本研究では,神経難病におけるmicroRNAの役割の解明を目的とする.神経難病のうちでも,神経変性疾患では病気の進行を遅らせることは現状では全く不可能である.また炎症性神経疾患も,殆どが慢性で難治性の経過をたどる.本研究で重点的な対象とする疾患は神経難病の中でも特に社会的,身体的問題の大きな筋萎縮性側索硬化症(ALS),多発性硬化症(MS)としている.具体的には,神経難病において,microRNAコード領域およびその周辺の調節領域のSNP,各種変異,それにcopy number variation (CNV),microRNAによって調節される疾患感受性遺伝子の領域を患者と対照群で比較検討する.その後,疾患関連microRNAを基に,in vitro,in vivoでの解析につなげる.本年度はまず対象となるmicroRNAを抽出した.免疫担当細胞あるいは神経系の発生と制御に関連すると報告されたmicroRNA,さらにMS,ALSの疾患感受性遺伝子,家族性ALSの原因遺伝子,神経系もしくは免疫系に関連した蛋白質をコードする遺伝子をを制御している可能性のあるmicroRNAを,データベースからと,in silicoの方法で抽出した.現在はmicroRNA,およびmicroRNAによって調節されると推測される疾患関連遺伝子の3'UTRの領域に候補をしぼり,可能な範囲で患者での全配列を決定できるように準備が進んでいる.いくつかの領域については増幅と配列決定のためのプライマー設計が終了し,随時配列決定が進んでいる段階である.
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