研究課題/領域番号 |
21591090
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三野原 元澄 九州大学, 大学病院, 特任講師 (70398113)
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研究分担者 |
松下 拓也 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00533001)
河村 信利 九州大学, 大学病院, 特任講師 (00432930)
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キーワード | claudin / CLDND1 / 多発性硬化症 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / ミエリン / 血液脳関門 / タイトジャンクション |
研究概要 |
本研究では、中枢神経系での発現を主体とするclaudin domain containing 1 (CLDND1)蛋白に対する自己免疫応答の多発性硬化(MS)症病態への関与を解明することを目的としている。血清抗CLDND1抗体は、健常者では3.2%に認められる一方で、抗AQP4抗体陽性MSでは41.2%と陽性率が有意に高い。また、CLDND1蛋白の発現は中枢神経系の脳梁や内包、白質などの髄鞘の多い場所に認められ、髄鞘においてはclaudin-11と同様に髄鞘に沿って間欠的に染色されるパターンであった。更に中枢神経系における脳毛細血管周囲、網膜毛細血管周囲にも発現が認められ、内皮細胞側での発現が示唆された。一方で末梢神経系での発現は認められなかった。MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)では、急性期と慢性期病変では共にCLDND1蛋白は脱落しており、MS患者においても同様であった。これらの結果は、CLDND1蛋白が髄鞘におけるタイトジャンクション形成や血液脳関門の形成にも関わるユニークな蛋白質である事を示唆している。さらに、抗AQP4抗体陽性MS患者でのCLDND1に対する免疫応答が高いことは、血液脳関門の破綻と同時に脱髄を引き起こす可能性を示唆している。本研究においては、MSに対するCLDNDの1蛋白への免疫応答の証明、並びにCLDND1蛋白発現を正常組織、MS病巣で検討しえた点で大変意義があると思われる。
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