研究課題/領域番号 |
21591094
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
樋口 逸郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80183573)
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研究分担者 |
高嶋 博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80372803)
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30140908)
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キーワード | thrombomodulin / Ullrich型先天性筋ジストロティー / 皮膚線維芽細胞 / コラーゲンVI / 細胞接着 |
研究概要 |
これまでの研究で、ヒト可溶性リコンビナントthrombomodulin(rTM)がUllrich型先天性筋ジストロフィー(UCMD)患者の皮膚線維芽細胞の接着能を改善することを明らかにした。今回、rTMがUCMD患者の培養皮膚線維芽細胞に与える作用を多角的に解析するため、細胞接着の他、増殖に与える影響を細胞学的・免疫化学的に検証した。実験に用いたrTMは全てART-123(旭化成)である。UCMD患者の皮膚線維芽細胞をチャンバースライド上で培養・固定しrTM添加群と対照群でコラーゲンVIの免疫染色を比較した。またTMのN末端、およびEGF様ドメインに特異的なモノクローナル抗体を用い、rTMの作用を阻止できるか検討した。rTMを添加した群は、対照群に比してコラーゲンVIの発現が亢進していた。種々の濃度(0.1~100nM)でrTMを添加し、6時間後の生細胞数をMTTアッセイにて測定したところ、UCMD患者の培養皮膚線維芽細胞の増殖能はrTM20nM以下で改善された。TMに特異的なモノクローナル抗体抗体を加えても、rTMによる作用は殆ど影響されず、rTMの作用機序は未だ明らかではない。またコラーゲンVIが細胞外に分泌されているかどうかを検証するためrTMを添加して培養した培養皮膚線維芽細胞を細胞成分と上清に分け、各々ウェスタンブロッティングを行った。rTMはUCMD患者培養皮膚線維芽細胞のコラーゲンVI発現を確実に増強させるが、その細胞外分泌は対照と比して有意差は認めなかった。rTMをUCMD患者の治療に応用するには、更なる研究を要する。
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