collagen VI異常を伴うベスレムミオパチーおよびウルリッヒ病患者の病態解明と治療法開発のためcollagen VI遺伝子異常が確定した典型的な優性遺伝を呈するベスレムミオパチーの家系例やウルリッヒ病の臨床徴候を解析し家系内での症状の違いの有無や予後を明らかにした。また、非定型例は見逃されている可能性があるため、関節拘縮や関節過伸展を呈する診断未確定の過去の症例についてもcollagen VIの遺伝子解析を行い新しい症例の発掘に努めた。3世代にわたるベスレムミオパチーの家系例では症例により関節拘縮や筋力低下に違いが見られた。ベスレムミオパチーで歩行困難となる主な原因は筋力低下ではなく関節拘縮である症例が多く、整形外科的治療により歩行可能期間が著明に延長していた。collagen VI完全欠損を呈するウルリッヒ病の長期経過観察により、適切な呼吸管理により生命予後は著明に改善することが明らかになった。関節拘縮や関節過伸展を呈する診断未確定例のcollagen VI遺伝子解析を続行中であり、現在collagen VI不完全欠損を呈する2例でcollagen VI α3遺伝子変異を見いだしており、詳しく検討中である。また、ヒト可溶性リコンビナントthrombomodulin (rTM)の治療効果を細胞レベルで研究しているが、rTMがウルリッヒ病線維芽細胞の接着能を改善することとcollagen VIの細胞内発現を増強することを明らかにした。細胞生存を高める可能性もあるが、臨床に応用するためには最も有効な濃度設定などをin vitroで詳細に検討する必要がある。今後ベスレムミオパチー患者線維芽細胞における治療効果の検討も必要である。
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