研究課題/領域番号 |
21591101
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
砂田 芳秀 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
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研究分担者 |
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330591)
大澤 裕 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80246511)
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キーワード | 筋ジストロフィー / 再生医療 / シグナル伝達 / 発生・分化 / 神経科学 |
研究概要 |
筋細胞膜のジストロフィン糖タンパク質複合体(DGC)を構成する蛋白質サルコグリカン(SG)欠損に起因する常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィーの発症病態は不明である。SG欠損筋ではSGとともにDGCを構成するβ-ジストログリカン(β-DG)が、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によってプロセッシングされ、これによって筋細胞膜-筋基底膜の強固な結合が破綻して発症すると推測されている。またマトリックスメタロプロテアニゼ阻害剤によるin vitro解析の結果からは、MMP-2及びMMP-9がこのβ-DGプロセッシングを司ると推定されている。本研究はγ-SGIMMP-2/MMP-9三重欠損マウスを作出しMMP-2及びMMP-9によるβ-DGプロセッシングの有無を検証した。本年度は昨年度誕生したγ-SGIMMP-2/MMP-9三重欠損マウスとγ-SG欠損マウスの骨格筋病変について比較解析した。三重欠損マウスは、骨格筋の肥大が認められ、筋束の一部では著しい筋線維の変性・壊死及び再生が認められ、γ-SG欠損マウスの骨格筋病変と差異は認められなかった。免疫組織染色では筋細胞膜のγ-及びα-SGは欠損していたが、細胞膜直下のジストロフィンと細胞膜のβ-及びβ-SG及び細胞外ラミニンα2の染色は正常であった。3種類のβ-DG抗体を用いたウエスタン解析では、三重欠損マウス骨格筋にはβ-DGの全長の他に35kDaのプロセッシング型も存在し、γ-SG欠損マウスと同様であった。三重欠損マウスで、γ-SG欠損マウスで認められるβ-DGプロセッシングが消失せず筋ジストロフィー病変の改善が得られなかったことから、β-DGプロセッシングにはMMP-2及びMMP-9以外のMMPが関与していると推定された。
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