研究課題/領域番号 |
21591103
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
大倉 良夫 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (10392367)
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研究分担者 |
松本 陽 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 特任研究員 (90173921)
神山 邦子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (80301795)
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キーワード | アルツハイマー病 / DNAワクチン / Aベータ |
研究概要 |
アルツハイマー病の免疫療法として種々の能動免疫や受動免疫を用いたものが試みられている。非ウイルス性DNAワクチンは安全性が高く有効で、いくつかの利点(安定性がよい、安価等)を有するので、開発する意義がある。アルツハイマー病での作用機序はまずDNAワクチンを筋注すると、筋肉細胞に取り込まれAβ-蛋白複合体が産生され細胞外に放出される。この複合体は免疫系を刺激し、抗Aβ抗体の産生を促進する。抗Aβ抗体は中枢神経系に到達してAβ沈着物に結合すると、そのFc部分を介してミクログリアが活性化し、Aβ沈着を貪食・消化すると考えられている。DNAワクチン治療効果を高めるためには、(1)より力価の高い抗体を誘導すること、(2)Aβ亜種(Aβから派生した類似分子)を幅広くカバーする抗体を誘導すること、が重要である。本年度はこの条件を満たすDNAワクチン、YM3711、を作成し、本ワクチンが上記の要件を満たすか検討した。その結果、W3711ワクチン投与により、マウス、ウサギ、サルに抗Aβ1-42抗体を誘導することを認めた。YM3711が誘導する抗Aβ1-42抗体の力価は我々が作製した既存のDNAワクチン(PNAS,2006に発表したもの)に比し、有意に高力価であった。さらに、抗AβpE3-42抗体、Aβオリゴマー抗体などの広範な抗Aβ亜種抗体を誘導することがわかった。種々のAβ亜種が沈着を示すアルツハイマー病のモデルマウスに投与すると、Aβ1-42、AβpE3-42、Aβオリゴマーの沈着を軽減することが示された。これらの所見を基に、臨床試験の前段階である非臨床試験を行うことを計画している。
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