研究概要 |
本年度の計画であった事象関連脳反応の測定による記憶機能の検証を行った。記憶機能を無意識的に測定することが研究手法の柱であったことから、前意識的な脳反応であるミスマッチ陰性電位を言語刺激で行いその逸脱反応を詳細に検討した。実験により前頭葉の反応を良好に検出することに成功し研究の主体であるワーキング(WM)検出に関連した考察を行った。結果は専門国際雑誌に掲載された(Jomori and Hoshiyama, 2009)。同じく、事象関連電位成分であるNo-go電位の検出は運動における待機とWMの関係において重要な脳活動であり、その詳細についても測定し、国際雑誌に掲載された(Nakata et al., 2009)。これらの反応は本研究の対象である認知症に関していずれも低下する機能であり、基本的脳反応の特性に関する研究成果が得られた点で、本年度の研究目標が概ね達成されたものと考えられた。中心となる成果は論文として投稿中(Uemura and Hoshiyama, Clinical Neurophysiology, in revision)である。 関連する研究として聴覚-運動連関に関する治療的な研究(Jomori and Hoshiyama, 2010)、運動遂行に関する実験的研究(Takei et al., 2010 ; Kato et al., 2010)の成果を残した。
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