研究概要 |
パーキンソン病は,中脳黒質に主病変をもつ神経変性疾患で,安静時振戦,筋強剛,寡動を主症状とするが,パーキンソン病患者には高頻度に幻視が出現する.パーキンソン病の重要な症状である幻視発現の病態機序の解明を試みる.パーキンソン病患者30名において幻視の質問紙であるTottori University Hallucination Rating Scale(TUHARS)にて幻視の程度を評価し,また記憶,視空間・構成,言語,注意,遂行機能の評価を含む認知機能検査と視覚認知の様々な要素を評価できるTest of Visual Perceptual Skills(TVPS)を施行し,幻視と視覚認知の関連を評価した.さらに幻視のあるパーキンソン病患者と幻視のないパーキンソン病患者の脳血流SPECTやMRIのdiffusion tensor imaging(DTI)やvoxel-based morphometry(VBM)の比較を行い,幻視と同部位との関連を評価した.パーキンソン病患者に様々な要素で低下を認めたが,図と地課題で明らかであった。またTUHARSでの評価でパーキンソン病患者10例(33%)で幻視を認めたが、これらの幻視群では,VBMで側頭葉の委縮がより顕著であった。パーキンソン病患者における視覚異常において、側頭葉における視覚処理過程が幻視に関与している可能性が示唆された.
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