当該年度の目標は、被験者の一時登録およびMRI評価および認知機能評価である。平成23年4月15日現在、170人の被験者が登録された。研究解析上の目標は200人であるが、3年後のフォローアップの際のドロップアウトを考慮すると230人を今回の登録目標としている。東日本大震災の影響で、3月11日より研究が一時止まり、被験者登録が大幅に遅れたが、現在、研究機関は正常化しているため、遅くとも本年7月には230人の登録が終了する予定である。 登録した170人は全員より説明同意書を文書で取得した。全員、脳ドックを完了し、血液検査、心電図、胸部X線、眼底検査、頚動脈エコー、3テスラMRIおよびMRAのデーターが登録された。研究用の高分解能3テスラMRIを遂行できのは、169人であった。1人は先におこなわれた認知機能検査の途中で中断され棄権された。この中で、頭部の動きによるアーチファクトがなく評価できるのは、161人であった。すべての症例には大脳白質には線状高信号病変が認められ、高血圧例および年齢が高い例では高頻度に見られた。大脳基底核も同様の傾向であった。この所見は我々のこれまでの報告に合致している。認知機能検査は169人が遂行できたが、高血圧例に前頭葉機能検査において誤りが見られる傾向があった。 脳ドックでおこなわれている精度の高いデーターが登録できかつ、本研究のMRIおよび認知機能検査も効率に遂行できている。被験者のモチベーションも高く、3年後の追跡結果も質の高いデーターが得られることが期待される。
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