研究課題
①ミオクローヌスてんかんに対する治療効果の検討:ミオクローヌスてんかんは、感覚皮質の興奮性が恒常的に高まることにより生じる不随意運動の一種である。Giant-SEPは、この感覚皮質の高い興奮性を反映しているとされ、一部の抗てんかん薬が症状の軽減と同時にSEPの振幅を低下させることから、治療効果を反映すると考えられている。不均一連発磁気刺激法(QPS)による運動野刺激は、運動野皮質の興奮性を安全かつ長時間変化させることが明らかとされている(Hamadaら, 2008; Nakatani-Enomotoら, 2011)。この性質を用いて、QPSによるミオクローヌスてんかん患者に対する治療応用を検討した。まず、さまざまな刺激間隔(IPI)でのQPSによる運動野刺激を正常被験者に対して行い、体性感覚誘発電位(SEP)を検討した。P25-N33はBienenstock-Cooper-Munro rule類似の二相性変化を示した。同様に、患者に対して、さまざまなIPIでのQPSによる運動野刺激を行った。いずれのIPIもSEPを抑圧せず、P25-N33のみならずN20-P25成分も増大させ、患者における感覚皮質の異常興奮性が示唆された。②難治性てんかんに対する治療効果の検討:薬剤抵抗性の難治性てんかん患者に対し、QPSによる治療効果を検討した。正常者の脳に抑圧効果を示す刺激条件(IPI=50ms)による刺激を行った。その結果、発作回数の増加や症状増悪を示し、QPSによる治療効果は得られなかった。①および②は、正常者に対する効果を患者に直接あてはめることができないという警告的結果であった。しかし、ミオクローヌスてんかんや難治性てんかん患者の大脳皮質の特質を明らかにすることができた点は有意義であった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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